◆出会い◆弓手騎士


あぁ、やってしまった。


■出会い


今日はレベル上げをしようと思い、ペコのアルクに乗ってルティエまで来ていた。
おもちゃ工場1F。

緑の人形とか赤い人形みたいな敵をガシガシ叩く。
プレゼントみたいな敵を見つけた。
真珠出して兄さんに渡したら喜ぶかな?

敵に近づいて剣を振り下ろしたのと、弓がその敵に刺さったのは同時だった。

しまった!
他の人が狙っていたのか…
自分の顔から血の気が引いていくのが分かる。
アルクから降りて相手を探していたら声が聞こえた。

「すまん、見えてなかった」
「え、あの」

謝りながら、弓が飛んできた方からハンターさんが近づいてきた。
船長帽を被っているから微妙に表情が分かり辛いが怒ってはないようだ。

「おい、聞いてるか?」
「あ、あの、すみませんでした!」
「いや、俺も悪かった」

あぁ、よかった悪い人じゃ無さそうだ。
ほっとしたのか視界が滲んだ。

「うわっ、ちょ、え、俺恐かったか!?」
「あれ…?」

目の前のハンターさんが慌ててる。
当たり前だ、目の前で泣かれたら。
恥ずかしくなって、アルクに飛び乗る。

「本当にすみませんでした!」
「それはいいが…って、おい?」
「アルク」

僕の声を聞いて走り出すアルク。

「ペコの足には追いつけねー、オリオンがいればなぁ」

後からそんな台詞が聞こえてきた。
まだ目からは涙が零れている。
もう子供じゃないんだから、人見知り治さないと、と思っているのに…

「ただいま」
「あれ、早かったな」

あれから狩りをする気にもなれなくて、直ぐにアルデバランまで戻り、溜まり場があるプロンテラまで戻った。

「うっ」
「静希?」

兄さんの顔を見たらまた涙腺が緩む。

「失敗…してしまって」
「あぁ、横から殴ったとかか?」
「はい」
「ちゃんと謝ったんだろ?許してくれなかったのか」
「いえ、許してくれました、ただ…恥ずかしくなって直ぐにアルクに乗って逃げてしまいました」
「あー、お前まだ人に慣れないのか」

ギルドの皆や3回くらいあった人なら平気なのに初対面、それに失敗した時の相手なんて上手く話せる訳が無い。
悪い事したなと反省。
もう1度会いたい、ちゃんと謝りたい。
…………しまった、名前も何も聞いてない!?

「ただいま、あれ静希、今日は狩りに行くんじゃなかったのか?」
「あぁ、おかえり志貴、いやそれがな…聞いてやってくれよ」

兄さんが事の次第を帰ってきたギルドの一員のアサシン、志貴さんに話す。

「謝ったんならいいんじゃないのか?」
「でも、もう1度会ってちゃんと謝りたいんです」
「ん〜、どんな奴だった?」
「船長帽被って、髪は緑色、背も高くて…かっこよかった…」
「緑で船長帽?そいつ鷹もってたか?」
「いえ、でも確かオリ…がいればって言ってました」

「オリオン、それ鷹の名前だ」

いつの間にか志貴さんの後にベテルギウスさんがいた。

「あれ、ベテルさっき別れたところなのにどうした?」
「清算どうするかと聞くの忘れてたからポタで飛んできた、ってそれより、静希、俺そのハンター知ってるぜ」
「ほ、本当ですか」

今日はもう寝ているそうなので、後日会わせてくれる事になった。


続く。