「いてて…」
■出会い
俺は1人ウルフを狩りに来ていた。
「ちょっとLvでも上げようって来たのはいいがリンクって辛いな」
半製造なので命中率は足りているし、クリティカルはでるんだが、なんせ火力がない。
生傷が絶えない訳だ。
「バイオプラント」
直ぐ近くで誰かの声がする。
次の瞬間暖かな光が体を包んだ。
見るとバイオプラントで出されたのはジオグラファー。
そのジオがヒールをかけてくれたんだと分かった。
「あの、ありがとう」
ジオの隣にいたアルケミストに声をかける。
そいつは俺に気付きニッコリ微笑んだ。
「いえ、私も怪我していたので出しただけですよ、でも貴方の怪我も治ったのならよかった」
紫の長い髪を頭の上で一つにくくり、モノクルをかけた人の良さそうな男。
いかにもアルケミストって感じだな。
「製造さんですか?」
「ん?いや半製造、だからウルフくらいしか狩りに来れなくてさ、あんたは?」
「私は戦闘ですよ、今日はこの子のLv上げです」
アルケミストは自分の肩を指差す。
見るとフィーリルが肩にとまっていた。
ん?
戦闘してるのはフィーリルなら自分は怪我してないんじゃないか?
ジオ出す必要ないじゃないか。
疑問に思ったのが顔に出たらしい。
アルケミストが言葉を付け足す。
「ここならターゲットが替わらないので楽なんですよ」
「あんた自分がタゲとってフィーリルに殴らせてるのか」
「はい、可愛いこの子に怪我をしてほしくないですからね」
ここにいるアルケミストっていったらホムンクルスに狩りさせて本人は座ってる奴が多いと思っていたのに…
こいつ変わってるな。
「えーと、あの」
「ん、なんだ?」
「私でよかったらパーティ組みませんか?」
「え」
突然の申し出、はいいがどう考えたって公平範囲じゃないのでは?
「そろそろ、ジョブのLvも上げないと、と思っていたのでよろしければ」
「でも公平組めないんじゃないか」
「はは、恥ずかしいですがアルケミストになりたてなんですよ、なのでまだ…」
「何っ、もっと高いと思った、どう見ても強そうなのにな」
見事に公平圏内、というか3Lvしか開いてなかった。
んじゃ断る理由はないが…
「でもいいのか、俺、戦闘力ないぜ?」
「はい、1人で狩りするのも飽きていたところです。スキルは?」
「あ、あぁ一応アドレナリンラッシュはとってる」
「なら、問題ないじゃないですか」
久しぶりに1人じゃない狩り。
何か楽しい。
「怪我しても私がポーションピッチャーで治して差し上げますよ」
「よろしく頼む、あ、そういえば俺は巴っていうんだ、あんたは?」
「私はカリオストロと申します、巴さんよろしくお願いしますね」
ニッコリと笑うカリオストロ。
どっかでアルケミストって苦手だと思っていたが、こいつは平気そうだ。
「ん〜…」
「どうした?」
「いえ、貴方にポーションピッチャーを使ったところを…ちょっと想像してしまって」
ポッと赤く頬を染めるカリオストロ。
待て、それはつまり…
「あのですね、一目惚れって信じますか?」
「今からでも遅くない、パーティ抜けていいか」
前言撤回
やっぱりアルケミストなんて変な奴ばっかりだ!
とはいえ、半製造の俺を誘ってくれたんだし悪い奴じゃ無さそうだしな。
身の危険は感じるが、暫く付き合ってやるか。